事業計画名

 

強制循環式太陽熱温水器における沸騰防止技術の試作開発

 

試作開発品の反射板を組み込んだ集熱器

 

試作開発品の反射板を組み込んだ集熱器(反射板の駆動部)

 

 

補助事業の概要

 

真空二重ガラス管を有する太陽熱集熱器を組合せた強制循環式太陽熱温水器は、冬場でも高温の熱を回収できる反面、夏場には集熱器の熱媒が沸騰するか、貯湯槽が沸騰してしまうという課題がある。そこで、プレス技術により真空二重ガラス管の反射板機能と太陽光の遮断機能の両方を兼ね備えた可動式カバーを有する太陽熱集熱器を開発し、一般家庭用市場に向けた強制循環式太陽熱温水器を売り込むことを目指す。

 

試作開発における技術的課題

 

 当社では、3年前から真空管式太陽熱集熱器を利用した太陽熱利用システムの商品化を図っており、昨年には産業向けばかりでなく、一般家庭向けの強制循環式太陽熱温水器を開発・販売してきた。しかし、高温が要求される場面において、集熱面積を増やすことが高温集熱の有効な手段ではあるが、増やしすぎると貯湯槽内の熱交換量より集熱量が勝ることとなり、集熱器の内部はオーバーヒートしてしまう問題があり、オーバーヒートを防止するための製品開発の必要性が出てきた。
当社は、従来よりプレス加工を得意とし、液晶用真空チャンバーの製作や真空フライヤーの開発・製造を行っており、今回の課題を解決するには当社単独でも十分な技術力を持っているが、市場性から考慮するとコスト面で厳しいため、外国企業と協力して製品開発を行う。

太陽熱温水器を大きく分類すると自然循環式と強制循環式に分けられる。自然循環式は、貯湯槽と集熱面が一体となった温水器を屋根に乗せるため美観の問題や屋根荷重の問題がある。一方、強制循環式は、太陽熱集熱器と貯湯槽が分離しており、屋根は美観的にも良好で、屋根荷重の心配もない。また、別の分類方法で、平板式と真空管式とに分けることができる。平板式は、集熱面が放熱面になるため高温の熱が回収できない。真空管式は、集熱面が真空であるため高温の熱を回収できるため、冬場の暖房利用や吸収式冷凍機と組合せて夏場の冷房などにも利用でき幅広い市場性が期待されている。

 具体的な課題解決の取り組みとしては、以下の項目とする。
(1)太陽熱を集熱する際には反射板としての機能を有する金属製のプレス成型品を製作し、
(2)高温になると自動的に可動する反射板が真空ガラス管をカバーし太陽光を遮光する構造とする太陽熱集熱器の試作開発を行うものである。
(3)さらにこの改良型真空管式太陽熱器と二重コイル式貯湯槽を組合せた強制循環式太陽熱温水器の試作開発を行うものである。

 

本試作開発によって期待する成果及び市場規模

 

現在、日本政府ばかりでなく世界中で、地球温暖化防止や新産業創出のため太陽電池の市場規模拡大のための努力がされている。
太陽電池は、太陽光エネルギーを電気に変換するもので変換効率は約15%と言われている一方、太陽熱温水器は、太陽光エネギーを熱エネルギーに変換する効率は約60%である。
太陽の光エネルギーは、1㎡当たり、1kwなので、変換後のエネルギーは、太陽電池は約150w/㎡、太陽熱は約600W/㎡ということになる。
最終的に熱エネルギーとして利用しるものは、電気エネルギーから熱エネルギーに変換するよりも熱として回収して利用する方が合理的であることは明らかである。

 自然循環式太陽熱温水器では、屋根に貯湯槽と集熱器が一体で置くため屋根の美観を損なったり、屋根の強度が弱い場合は設置できなかったりするが、強制循環式太陽熱温水器は、これらの欠点を補うことができるため、一般家庭での市場性が広がる。また、日本国内の一般家庭でのCO2削減は進んでおらず、家庭でのエネルギー消費の約30%が給湯であるため、これらを太陽エネルギーで補うことで、国が目標とするCO2削減に近づけることが可能となる。また、真空管式太陽熱集熱器は、高温の熱が回収できるので給湯ばかりでなく暖房や冷房にも使用することができる。一般家庭用の太陽熱温水器の市場規模は100~150億円であるが、お湯を使った床暖房システム、輻射式暖房システムの市場や吸収式冷凍機や吸着式冷凍器と組合せた冷房システムの市場を加えると数百億円、さらには産業向けに真空管式太陽熱集熱器を既存のボイラーシステムの補助熱源に利用すればハイブリッドソーラーシステムとしても構築可能であり、市場性は1000臆円をはるかに超えることが予想される。当社は、3年後に一般家庭用太陽熱温水器の市場の3%(約3億円)シェアを確保することを目標としている。さらに5年後には、市場の5%(約5億円)シェアを目標としている。
今回の太陽熱集熱器の改良版に成功すれば、真空管式太陽熱集熱器を利用した産業向けのハイブリッドソーラーシステムの開発にも一歩近づくので相乗効果が期待できる。
また、これらが実現すれば、国としての施策であるCO2削減にも大きく寄与できる。